2011年3月11日に発生した東日本大震災は、いまだにその爪痕を残し、復興の努力が続けられています。この事態に直面し、我々開発者も多くのことを考え、学び、何かできることはないかと悩みました。これほど大規模な災害は滅多に起きないとはいえ、実際の惨状を目の当たりにすると平時においても不断の準備が必要であることが実感されたのではないでしょうか。その対象は、住環境のデザイン、必要な情報をいかにして確実に届けるかなど住民と一体化したインフラデザインにも及びます。

本セッションは、確実な情報伝達、より災害に強い住環境づくりのために試みられているインフラストラクチャに関わる講演です。


【震災に関する情報伝達・復興支援のためのマッシュアップ手法】

本講演では，講演者らが制作した事例の解説を通して，震災に関する情報伝達・復興支援のためのマッシュアップ手法について述べる．震災発生後，被害状況伝達や復興支援を目的として，官公庁や企業などによる情報配信がおこなわれたが，いずれも個別の情報発信にとどまっており，複数のデータの俯瞰的な把握が困難であった．著者らはこの状況に際し，複数のデータソースと地図サービスを三次元地図上で重層表示したマッシュアップサービス群を公開した．これにより，複数の情報を関連付けて多面的・総合的に把握できる地図コンテンツを，短期間のうちに公開することができた．


【3次元CG活用による震災復興都市計画（ゼネコンのボランティア提案実務ご紹介）】

竹中工務店と竹中土木は、巨大津波により壊滅的な被害を受けた大槌町、南三陸町、名取市（閖上地区）の3地区に対して震災発生直後よりその復興都市計画の立案・検討に着手し、現在に至るまで約半年間、ボランティア的に各自治体に対して提案・コンサル活動を行ってまいりました。
異なる地形を持つそれぞれの地域に、どのような土木・建築的対策を講ずれば、将来に渡り住民が安心に暮すことのできる街を再生することができるか？　そのような立体的な都市計画案の検討と検証また説明用ビジュアルの作成に、極めてベーシックな3DCGの機能が大いに威力を発揮しました。
実際に市町村に提示したPPT資料や現地で撮影した写真などを中心に、３DCGが使えて初めて提案できたアイディアや、現地での苦労話、などをお話しいたします。