TOPCEDEC運営委員会 委員長コメント
CEDEC運営委員会 委員長コメント
■Cross Border
~CEDEC 2011開催にあたり~
僕たちは、エンターテインメントを開発することを仕事にしています。世の中には色々な仕事があります。その中で、僕たちは人々の生活を、「より」豊かにしようとしています。これが、エンターテインメント開発を仕事にするということではないでしょうか。そして、豊かな時間や体験を人々に提供することで、社会をより豊かにしていくことが僕たちの仕事だと信じます。
CEDECは、コンピュータエンターテインメント開発者や研究者が集い、議論し、お互いに研鑽するためのアリーナです。発表されるのは、CEDEC運営委員会による審査を通して採択されたセッション群。どんな問題があって → どのように解決して → どんな結果が出たか → 次はこうしたい! を骨組みとした多くの講演が行われます。今回採択された方も、残念ながら不採択になった方も、公募に至らなかった方も、CEDECに参加して下さい。職種も関係ありません。プログラマー、アーティスト、サウンド、ゲームデザイナー、システム、企画、営業、経理、法務、人事、経営・・・。あらゆる方が、CEDECで呼ぶDeveloper (開発者) です。
CEDEC 2011では、これまでもテーマとしてきた「多様性」を更に推し進めます。昨年も実施した「ショートセッション」は、同じ軸について複数の見方を提供する形式でした。また、参加者と発表者の議論を主眼とした「インタラクティブセッション」は、「インタラクティブセッション」として更に強化して実施されます。参加型の「CEDEC CHALLENGE」も新しい企画も導入して実施します。もちろん通常の60分セッションや、各界一流の方をお招きしての基調講演、開発者の優れた業績を表彰する「CEDEC AWARDS」、皆様のネットワーキングを支援するパーティなども、更に充実させていきます。
そして、もっと「多様性」を推進するため、CEDECは、今年から正式名称を "Computer Entertainment Developers Conference" に変えました。去年までは、主催団体の名前を入れて "CESA Developers Conference" というのが正式名称でした。CESAはビデオゲーム業界の団体だから、どうしてもビデオゲーム業界に特化したカンファレンスであるような印象を与えていたかもしれません。しかし、それでは不充分です。仮に、ビデオゲームを中心に考えたとしても、それはコンピュータソフトウェアの技術であり、映像技術であり、音声技術であり、演出技術であり、エンターテインメントビジネスです。ビデオゲーム業界が「外」と考えていた人々の知見は、必ず役に立ちます。その逆も然りで、ビデオゲーム開発で培われてきた知見は、もっと広く世の中の役に立てることができるはずです。
ビデオゲーム、CG、インタラクティブ機器、オンラインサービス、電子コモディティ、教育、電子書籍、そのほか色々な可能性の追求が行われています。会社の壁を越え、業種の壁を越え、国の壁を越え、同じ志を持つ人と手を携え、異なる意見を持つ人と議論して下さい。時には衝突しても構いません。そこから新しいアイデアが産まれ、新しいやり方を発見し、自分の視野を広げていって下さい。これが、キャッチフレーズの "Cross Border" の意味です。
ところで、2011年3月11日に東日本を中心に発生した「東日本大震災」からの復興は、長期戦となることでしょう。CEDECとして何ができるかと、運営委員全員で議論し、本当に真剣に考えました。その結論として「震災復興支援技術特別セッション」を、7月29日を締め切りとして公募しています。その狙いについては、http://cedec.cesa.or.jp/2011/newsletter/0331.html にアーカイブされている CEDEC のニュースレターを読んで下さい。要は、「僕たち開発者は、転んでもタダでは起きない。必ず、より良い未来のために前進する」という事を示したいのです。
CEDECは、挑戦者を歓迎します。