受講スキル | ゲームエンジン作成、レンダリング関連、シェーダ作成の経験のあるプログラマー。または、テクニカルディレクター、テクニカルアーティスト。 |
---|---|
受講者が得られる | 物理ベースレンダリングにおいて光エネルギーを物理的に正しく扱うことの効果および関連する知識 |
昨年のImagire Dayセッション「本当のHDR表現へ」において、BRDFの物理的正確性の重要性についての解説が行なわれましたが、実際にシェーディング点に入力する光や反射後の光が正しく扱われていなければ、「シェーディング処理」が「物理的」に正しいとは言いきれません。
そこで、このセッションでは光源が光エネルギーを出力してそれがイメージセンサー(フィルム、デジタルセンサー、人間の目など)に到達するまでの流れをすべて物理化するという実装について解説を行います。
一般的なCGツールでは光源の強さをIntensity(強度)などで扱います。
しかし、これは相対的なパラメータであり、この値では物理的に(絶対的に)どの程度の光の強さなのか全く分かりません。このセッションでは、光の強さを物理単位であるW(ワット)で扱うところから解説をスタートし、また光源の一般的単位であるlx(ルクス)やlm(ルーメン)、色温度などとどのような関係にあるのかを解説します。
物理ベースのBRDFモデルがすでに導入されていれば、ライトやレンダーターゲットを物理量で処理することにより、イメージセンサーに正しい光エネルギーが到達していると仮定することができます。この届いた光エネルギーをディスプレイに表示すべき正しいRGB値に変換をすることができれば、正しいレンダリングを行うことができるはずです。このセッションではフィルムを例として、スペクトル領域で処理された光の物理量をどのようにして最終的なsRGB色空間上のRGB値に変換するのかということを解説します。ライトの物理量を正しく処理することにより、従来の単なる非線形トーンマップと異なり、イメージセンサーが持つ複雑なスペクトル-色変換がもたらす現象をある程度再現することができます。
また、光散乱シミュレーションやGlobal Illuminationなどを行う場合に、光源が正しい物理量を持つことができるため、デザイナーがパラメータを設定する場合でも、現実的な数値を参考に簡単に設定することができます。
-
五反田 義治
株式会社トライエース
研究開発部
代表取締役
ゲーム製作スタジオ「株式会社トライエース」代表取締役。同時に研究開発部もまとめている。
過去のGDC,CEDEC,SIGGRAPHで講演も行なっている。