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CEDEC組織委員会 委員長コメント
■CEDECとは何か?
現場から現場へのメッセージ
結論から書きます。開発者個人としての皆さんが集まり、議論し、お互いを高め合う場がCEDECです。
この文章を読まれている皆さんは、会社に所属している方がほとんどだと思います。だから、会社員としての立場もある。良く分かります。僕もそうです。個人で営業されている方もいらっしゃるでしょう。クライアントの立場を尊重しなければならない。これも、良く分かります。
しかし、少しだけ見方を変えてみれば、全く違う風景が広がります。
会社が必要としている物は何か。その欠かせないもののひとつは、かかるコスト以上のリターンを会社に戻してくれる従業員の雇用のはずです。では、僕たちは何の仕事をしているのか? 素晴らしいゲームを開発し、それをお客様に提供し、喜んで頂く仕事です。この仕事に必要な事は何か? 高価な機材やツールを導入すれば解決でしょうか? 過酷な労働にも文句一つ言わず、言われた事を粛々と遂行する機械のような従業員でしょうか? 違いますよね。必要なのは、優れた仕事を、確実な技術と、熱意を持って成し遂げる個々人です。「会社」を「クライアント」、「従業員の雇用」を「個人との契約」と読み替えれば、個人営業の方にも当てはまるハズです。
今、日本のゲーム業界について、様々な事が言われています。景気後退の影響、少子化、娯楽の多様化など、色々な分析があります。それぞれが的を射ている部分もあり、参考にすべき見識も沢山あります。しかし、僕たち「現場」の人間が出来る事は何か。それは、日々の仕事を頑張ることももちろんですが、加えて、更に自らを高めていくための努力ではないでしょうか。
ここで書いた「現場」は、ゲーム制作プロジェクトの方々に限りません。技術開発の現場、人事の現場、総務の現場、経理の現場、法務の現場、事業開発の現場、営業の現場、教育の現場、研究の現場、更には経営の現場も含みます。それぞれが、それぞれの専門性で、素晴らしいゲームを開発し、それをお客様に提供し、喜んで頂き、しかもそれを継続的に成長させるために頑張っています。CEDECでお話頂きたいのは、こういった「現場」の方々の日々の奮闘です。どんな人が、どんな困難に直面し、いかにして解決し、今後はどうしていきたいか? これを、多くの人々と共有し、議論し、様々な考え方や体験を融合し、新しい方法を見つけ、それに挑戦していくきっかけを提供する場がCEDECです。
CEDECで聞いた事が、そのまま持ち帰れるものだとは思わないでください。60分というセッション枠は短すぎますし、3日間という開催期間も短すぎます。得て頂きたいのは、考え方の多様性を目の当たりにする体験です。合致する部分もあり、違う考え方もあり。議論してみたら、違うと思っていたのが実は誤解の場合もあり、その逆もあります。「違い」を楽しんでください。
CEDEC 2010では、多様性を更に広げるために、以下の施策を実施します。
1. 20分ショートセッション形式の導入
なるべくテーマの近いセッションを3本まとめてご聴講頂く事を狙っています。同じテーマでも、様々な考え方がある事を、短い時間内でご体験頂く事が目的です。
2. ポスター発表形式の導入
様々な技術やアイデアの屋台村です。会場内のオープンスペースに、ポスターを張り出すためのついたてを並べます。ここにいらっしゃる発表者の方と、来場者の方に、心ゆくまで議論をして頂く事が目的です。デモンストレーションの実施もあるかもしれません。学生さんの参加も歓迎しますので、更に幅広いアイデアを体験して頂けるでしょう。
3. 日本語 → 英語同時通訳導入(一部セッション)
CEDECにいらっしゃる海外講演者の方々や、参加者の方々にも充分にCEDECにご参加いただき、日本の開発者との議論を深めて頂くためです。
もちろん、従来の60分セッション、パネルディスカッション、ラウンドテーブル、CEDEC AWARDS、パーティなども引き続き強化して実施しますのでご期待下さい。
まとめます。CEDECは、皆さんが自分の開発者人生を自分で考え、更に高めて頂くきっかけの場としてデザインしています。違う意見があり、それを交換し、自分の意見を広げ、見識を高める場です。最高のゲームを、楽しく(≠楽に)作って、お客様に喜んで頂くという理想を目指して、共に頑張りましょう。