プログラム

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Global Game Jamへの誘い −48時間ゲーム開発プロジェクト「GGJ2010」参加報告−

形式 
ショートセッション(20分)
受講スキル

ゲーム開発の社内教育担当者(とくにプロジェクトマネージャなどの育成や新人教育などに興味を持つ方),ゲーム開発者(プログラマ,グラフィッカ,ゲームデザイナなど)

受講者が得られる
であろう知見

短期間(48時間)のゲーム開発イベントとして世界同時開催しているGlobal Game Jamへの参加から得られる,OJT的な教育効果.会場(サイト)の運営方法

IDGAが主催するGlobal Game Jam(http://www.globalgamejam.org/)は,世界138の会場に多くのゲーム開発者(昨年度は1,600人)が集い,題目に沿ったゲームを48時間という短い時間で開発するイベントである.
Global Game Jam 2010(以下GGJ2010)では,日本から4か所(東京工科大学,北陸先端科学技術大学院大学など)が会場として名乗りを上げた.欧米と比較すると日本からの参加者やホスト会場が少ない.本セッションでは,おもに(1)「東京工科大学におけるサイト運営」,(2)「参加チームの開発過程」,(3)「参加による効果」について,実際にサイトとしての運営記録と,参加チームの開発過程を交えて紹介する.

(1)東京工科大学におけるサイト運営
48時間のイベントということで,開催に対しての障壁が高く感じられるが,実際はすべての時間オープンにする必要はない.そのため,場所の確保はそれほど問題にならない.また,開発環境やインターネット接続などが必要になる以外は,要求されている会場の要件のほとんどはフレキシブルに対応することができる. 今回のサイトでは,参加者16名に対して,実質的に運営は1名でできた.基本的に参加者が学内からのみであった点が大きいが,外部から来場する場合はセキュリティなどへの配慮が必要である.これらの要件を明らかにすることで,GGJ2011ではさらに多くのサイトの参加を促したい.
(2)参加チームによる開発過程
Global Game Jamで開発するゲームのテーマは,タイムゾーン(日本はGMT+9)ごとに分かれている.本年度については共通のテーマとして「だまし」があり,さらに3つのテーマ(「港」,「スポーツ」,「できもの」)のうちから一つを組み合わせる必要がある.さらにアドバンストの課題として,5分以内で遊べるゲームであったり,コントローラやマウス以外のデバイスを使用するなどが掲げられた.
開発チームをその場で結成する短期間での開発であるため,開発環境を何にするかは重要なファクターになる.まずは16名をデザイナー,プログラマーなどそれぞれの役割に分けた.それらのスタッフを,開発言語や2D,3Dなどの開発方針に合わせて2つのチームに分けた.
短時間での開発のため,早い段階での業務の分担が必要になる.また,短い時間であるため,詳細なドキュメントを準備できなくても,メンバーの意思の疎通を図るためのドキュメントが重要である.

(3)参加による効果
東京工科大学の場合は,1年時からプロジェクトベースのゲーム界開発教育を実施している.その教育効果を測定したり,参加者が自分で感じる意味で非常に有意義であった.具体的に教育カリキュラムが今回の開発体験にどのように生きたか議論をする.これらをもとに社内での人材育成や,内定者に対する事前研修などにもGGJは効果があると考えられる.本セッションではこの点について報告,議論したい.

  • 三上 浩司

    三上 浩司

    東京工科大学

    メディア学部

    講師

    1995年慶應義塾大学環境情報学部卒業,2008年同大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程修了.博士(政策・メディア).1999年より東京工科大学片柳研究所クリエイティブ・ラボに従事し,現在は同大学メディア学部講師.主にアニメ,ゲームの制作技術と管理手法に関する研究開発に従事.教育では2004年にゲーム開発のための教育カリキュラムを開発し文部科学省「現代的教育ニーズ取り組み支援」に採択.著書に『デジタルアニメマニュアル』(東京工科大学),『デジタル映像表現』(共著,画像情報教育振興協会)がある.ACM SIGGRAPH,映像情報メディア学会,芸術科学会,日本デジタルゲーム学会ほか所属.

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