ショートセッション

幸せのみつけ方―ゲームがウェルビーイングに与える影響から個人の環境・性質による違いまで (Causal effect of video game play on mental well-being: a quasi-experimental study among Japanese population)

講演形式
ショートセッション
講演時間
08月25日(金) 17:50 〜 18:15
講演ルーム
第9会場
受講スキル

・ゲームが心の健康や幸福感に与える影響にご関心がある方

得られる知見

(1)ゲームと心の健康や幸福感の因果関係についての最新の科学的知見。

(2)ゲームの影響にはどのような個人差があるのか。個人や家庭の属性や、プレイ時間による違い。

(3)因果推論・機械学習による研究成果。

セッションの内容

ゲームがこころの健康や幸福(ウェルビーイング)にどのような影響を与えるのか。

この疑問は、ユーザーとその家族、政策当局者、クリエイターなど、多くの人々の関心を集めてきました。

世界中で、心理学、メディア学、行動科学、神経科学などの科学者が、このテーマを研究しています。

ところが、一般に普及しているイメージは、主に医学において強調されてきた否定的なものです。

残念ながらそのイメージは、現在の研究者の認識とは、ズレがあります。

このセッションで、私たちは、ゲームとウェルビーイングの関係についての科学的研究の最前線の状況を、わかりやすく紹介します。なかでも、因果推論(自然実験)と機械学習を10万人規模のデータに適用した私たちの疫学研究によって明らかとなった、ゲームとウェルビーイングのポジティブな因果関係について、わかりやすくご説明します。

本セッションの構成は、次のとおりです。

#1 従来研究の解説:最新の研究までカバーします。

#2 従来研究の弱点:相関関係と実験室実験の限界

#3 わたしたちの研究のエッセンスその1:因果推論と自然実験

#4 わたしたちの研究のエッセンスその2:効果の個人ごとの異質性; 機械学習(性別や年齢、家庭環境などに応じてどう違うのか?)

江上 弘幸

日本大学 (Nihon University)

経済科学研究所 (Research Institute of Economic Science)

助教 (Assistant Professor)

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<講演者プロフィール>

2007 東京大学経済学部経営学科卒 (Bachelor of Economics, The University of Tokyo)。2013 シカゴ大学公共政策大学院修士 (Master of Public Policy, The University of Chicago)。2021 政策研究大学院大学博士 (Ph.D. in Advanced Policy Studies, National Graduate Institute for Policy Studies)。2007-2017 日本銀行。2017-2019 会計検査院特別調査職。2021-現在 日本大学経済科学研究所助教。医療経済学会、開発経済学会、情報処理学会、デジタルゲーム学会など会員。医療経済学会、電気通信普及財団で受賞。医療アクセスとモバイルテクノロジーの関係についての著作あり。専門は、因果推論を用いたデータ分析。

<受講者へのメッセージ>

ゲームやメディアに関する科学的エビデンスを積み上げていくことを目標に研究しています。皆様が世に送り出したゲームが、ユーザーを幸せにしているかというテーマで、お話します。ご興味を持っていただければ幸いです。

I am eager to engage with participants from diverse backgrounds. I welcome those who may not be confident in their Japanese to join the conversation with enthusiasm.
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山本 剛資

政策研究大学院大学

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<講演者プロフィール>

2004 年東京大学経済学部経済学科卒。2006年同大学経済学研究科修士課程修了。2013年シカゴ大学公共政策大学院修士 (Master of Public Policy)。現在、政策研究大学院大学(GRIPS)在籍。デジタルゲーム学会などに所属。長年、政府の政策分析に携わる。専門は、政策に関する意思決定理論。

<受講者へのメッセージ>

幸せ(ウェルビーイング)を巡るトピックが増える中、最新の研究成果である、「幸せ」と「ビデオゲーム」のポジティブな関係についてご紹介できることを大変嬉しく思います。
私自身、スーパーファミコン、PS、Nintendo Switchなど、幼少のころから1日数時間をゲームに費やしましたが、昨今、ゲームを巡る(ゲーム障害などの)ネガティブな情報が目立つようになり、残念に思うところがありました。
確かに、過剰なゲームプレイが心身に及ぼす影響を過小評価することは望ましくありません。私自身、親として、子どもがゲーム「だけ」に熱中することに関しては、時として懸念を抱くこともあります。
それでも、ゲームがもたらす喜びや楽しみを実感してきた者として、今回の「ゲームがもたらす幸せへの影響」について、エビデンスに基づきお話することで、皆様の「ゲームの持つ可能性」に関する知見をアップデートできれば幸甚です。
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共同研究・開発者

若林隆久(高崎経済大学 地域政策学部 准教授)
江上千紘(会計検査院)
Md Shafiur Rahman (浜松医科大学 子どものこころの発達研究センター Senior Assistant Professor)