CEDEC運営委員会インタビュー

CEDEC2023 アカデミック・基盤技術分野インタビュー

アカデミック・基盤技術分野 主担当 鳴海 拓志
──アカデミック・基盤技術分野における最新の特徴を教えてください。

鳴海:

2022年にはChatGPTやStable Diffusionといった、文章や画像を生成するAIが登場し、学術だけでなく一般にも大いに話題になりました。こうした大量データからの学習に基づいてコンテンツを生成するAIの技術は日々新しいものが出ており、技術動向を追いかけるだけでも大変な状況です。
それなりのクオリティのコンテンツを大量に生成できるAIが登場してきた一方で、現状ではクオリティや権利問題などの観点で、エンターテインメント分野で生成物を直接利用するのは難しい面もあります。
他方、AlphaGoのおかげで人間の碁の打ち手に新たなバリエーションがもたらされたように、AIは人の発想を拡げ、クリエイターによるコンテンツ創造をより効率的で質の高いものにしていくでしょう。

──この分野で特に求めているトピックを教えてください。

鳴海:

技術動向で述べたように、エンターテインメント分野でコンテンツ生成AIをもっと活用していくためには、AIと人の共創を支援するようなインタフェース技術が必要とされます。GPT-3が質問形式というインタフェースを得てChatGPTとなったことで一気に活用が広まったように、エンターテインメントコンテンツ制作のためのAIと人の共創支援技術として何を考える必要があり、どのようなものがあり得るのか、既に活用されている事例の紹介なども含めて、ぜひCEDECで議論したいところです。
また、対面でのイベント開催などが徐々に戻りつつありますが、まだまだ遠隔やハイブリッド環境での共体験を作り出すインタラクション技術の需要も高いので、引き続き関連する発表に期待しています。
新しい観点では、エンターテインメント分野でもダイバーシティ&インクルージョンをこれまで以上に考えていく必要性から、アクセシビリティの担保にかかわる技術や話題についても積極的に話題提供していただきたいです。

──ご自身の経験や過去の応募者の反応から、応募するメリットはどう感じていますか?

鳴海:

この分野に応募されることが多いアカデミアの方々にとっては、CEDECに応募すること自体が、研究の成果をどう社会と繋げられるかを新しい観点から見つめ直せるとても良い機会になると考えています。
発表に対してエンターテインメント業界の方々からいただける柔軟なご意見は、普段の研究活動で考えることとは違う視点を提供してくれて、研究をする上でも良い刺激になった、といっていただけることが多いです。また、そこから共同研究や実用化に繋がるという場合もあります。

──CEDECでの登壇メリットについてはどう感じていますか?

鳴海:

特に登壇のメリットがあるよとお伝えしたいのは、エンターテインメント業界に興味のある学生さんです。自分の研究で得られた成果や知見を発表して顔を売ることは、エンターテインメント業界との繋がりを作り出すきっかけになります。チャンスを掴む場として、是非応募していただきたいと思っています。

──最後に、公募を検討している方へメッセージをお願いします。

鳴海:

エンターテインメント業界の方々は新しい技術に対してポジティブで、明るく楽しいフィードバックを与えてくれます。アカデミアの方にとってもそうでない方にとっても、CEDECは普段とは違う観点の有意義なフィードバックが得られるお祭りのような楽しい場所です。
中でも、アカデミック・基盤技術分野は、少しでもエンターテインメント分野との関連が見いだされるものであれば、萌芽的な取り組みや新しい提案を何でも受け入れてくれる、ダイバーシティのある分野です。
CEDECに興味はあるけど、自分の持っている知見はCEDECにふさわしいのかな?とためらう必要はありません。様々な方に様々な内容でご応募いただきたいです。