ゲーム産業における対話キャラクター人工知能技術の発展
対話技術をこれから応用したいと考えておられるゲーム開発者、
対話技術の使用の予定はないが、将来、使用したいと考えるゲーム開発者、
ゲーム産業における対話技術を知りたい学術研究者
(1) 対話エージェント技術のゲーム産業における歴史
(2) 対話エージェント技術の包括的、体系的な技術の体系
(3) これからの対話エージェント技術のロードマップ
デジタルゲームにおける対話エージェント(キャラクター)は長い歴史を持つが、その技術は近年において、対話エージェントが社会で導入されるに従い、より重要度を増しつつある。また学術からゲーム産業において、どのような対話エージェント技術が用いられてきたかを、という問い合わせも多い。本セッションは、ゲーム産業における対話エージェントの人工知能技術を歴史的に体系化して解説を行う。さらにスクウェア・エニックス社内における事例をその体系の中で紹介することで、体系と具体例の双方を提供することを目的とする。本セッションは包括的な日本、世界における対話エージェント技術の調査に基づく報告である。
対話型エージェントは80年代のゲーム内から存在する。80年代はルールベースによる実装が主であったが、90年代に入るとニューラルネットワークを用いた実装も始められるようになった。また、00年代からはステートマシンやビヘイビアツリーを応用する事例も増えている。近年ではディープラーニングを用いた例などもある。社内における調査では、古くから複数のタイトルが対話エージェント技術を用いている。社内の対話エージェント技術としては、ユーティリティベースの意思決定をベースとした、フィードバック学習を用いたアーキテクチャが採用されている。本セッションでは、社内の人工知能技術の変遷についての報告も行う。
また近年、著しく発展しているのはゲーム産業外における対話エージェント技術の進展である。テキストアドベンチャーゲームを用いた言語学習や、オリジナルで設計したテーブルトークRPG内の対話をディープラーニングで学習する大規模な事例が増加している。ゲームを利用した対話エージェントの形成がゲーム産業外で行われている事例をいくつか報告することで、デジタルゲームを用いた対話エージェントの形成手法を紹介する。これによって、ゲーム産業内のタイトルなどの資産を活かした対話エージェントの開発に手法を伝える。これはゲーム産業における対話エージェント開発を促進する上で重要である。
本セッションはデジタルゲームにおける対話エージェントに関する包括的かつ体系的な技術を説明することで、ゲーム産業、ゲーム研究におけるこれからの指針を聴講者に与えるものである。セッションの最後では、これからの対話エージェント技術のロードマップを示す。