新しい人工知能の意思決定プランニングの仕組み「ART-HTN」
・NPCやNPCの集合に計画的な行動をさせたいと考えている方
・プランニング技術をAIアーキテクチャに利用したいと考えている方
・リアルタイムの環境下で計画的な行動ができるAIアーキテクチャ
・HTNシステムのようなプランニング技術をリアルタイムゲームで利用できるように発展させる手法
HTN(階層型タスクネットワーク、Hierarchical Task Network)システムはゲームにおいて長期的な行動を実現するAIシステムの一つです。しかし、HTNシステムは偶発的な変化や敵対的なエージェントの行動を扱う仕組みがありません。リアルタイムに状況が変化するような環境下でHTNシステムを利用する場合、従来のゲームではプランを作り直す「リプランニング」の頻度を上げることで、多様な状況変化に対応してきました。しかし過度のリプランニングは、AIの長期的思考を壊してしまう原因となりました。そのため私達はHTNシステムをよりリアルタイムゲームに適した形に発展させた「ART-HTN」(Advanced Real-Time HTN)を開発しました。主な改善点は以下の3点です。
(1) マルチシナリオ・プランナ:考えられる状況をシミュレートし複数の計画を同時に立てることで敵対的なエージェントの行動を考慮する。
(2) Lazy-Evaluation:実行時にタスクを評価、分解することでその状況に適した行動を行う。
(3)Executorの導入:計画を立てるPlannerの他に計画の実行を管理するExecutorを導入し役割を分けることで柔軟な計画の実行を実現する。
本セッションではHTNシステムがはらむ問題点に向き合い、様々な状況に対応できるように改良したこれらの手法について説明します。