意識の統合情報理論
講演形式
レギュラーセッション
講演時間
08月23日(木) 10:00 〜 11:00
資料公開
予定あり
受講スキル
意識研究に興味のある方
得られる知見
統合情報理論
セッションの内容
意識の科学的研究が本格的に始まったのは、1990年ごろからである。神経科学者を中心に盛んに研究が行われ、意識について様々な実験的な知見は集められている。しかし一方で、それら実験的な知見を統一的に理解するような理論はまだあらわれておらず、意識の本質的な理解にはまだほど遠い状況と言える。こうした状況の中、近年、意識の統合情報理論(Integrated Information Theory of Consciousness)と呼ばれる理論が、意識研究にブレークスルーを起こす可能性がある理論として注目を集めている。統合情報理論とは意識の量と意識の質を、ネットワークの中の情報と統合という観点から数学的に定量化しようとする試みである。統合情報理論は、深い睡眠時に意識が失われるのはなぜか、視覚と聴覚の意識の質(クオリア)の違いは何によって決まるのか、複数の意識(例えば二人の人間の脳)の間の境界はどのように決まるのか、脳の中の意識の座はどこかといった問題に関して、統一的な説明を与える。本講演では、統合情報理論の事前知識が全くない方向けに、統合情報理論を解説し、意識という問題を考える上での手助けとしたい。