ゲームAIに興味を持つ方、人工知能をゲームに導入しようと思っている方、技術責任者など、ゲームAIのこれからとこれまでを知りたい方に向けて講演とパネルをいたします。
ゲームAIのこれからの10年の展望
セッションの内容
デジタルゲームの人工知能技術はこの20年進化しました。大きく分類すると、ゲームタイトルの中でリアルタイムに動かす「ゲームの中のAI」、ゲーム開発やサービスのバックエンドで動く「ゲームの外のAI」があります。「ゲームの中のAI」については、特に1993年から2012年までの急速の進歩の後、ゲームのオープンワールド化に対応に2017年までを費やし、それ以降はニューラルネットをはじめとする学習アルゴリズムの導入が行われました。「ゲームの外のAI」に関しては、ゲームエンジンやサーバーログによって収集したデータの解析や、自動デバッグ、品質保証のためのAI(QA-AI)、自動ゲームバランシングに注力して来ました。
このゲームAI技術の歴史を一言で言えば、「ゲーム開発者が行っていたことを、AIが行うようになり、それがゲームの内部に実装される」ということになります。たとえば、2000年当時、キャラクターのたどるパスは多くのゲームでマップ内でポイントを打つことで作成していました。今はパス検索技術でゲーム内で動的に検索します。またキャラクターの配置は今でも手動で設定する場合が多いですが、大型ゲームではメタAI技術によって動的に決定されるようになっています。またキャラクターの思考はマップ毎、キャラクター一体毎にスクリプトで書かれていたところから、その場その時に思考を作り出す階層型タスクネットワークやゴール指向アルゴリズムによって置き換えられつつあります。このような変化がデジタルゲームそのものをよりスケーラブルな、よりダイナミックなものへと変化させて来ました。
またこの2~3年では、ゲームのパラメーターやデバッグ、QAの分野、つまりゲームの調整分野にラーニング技術が使われつつあり、さらに自然言語処理がたどたどしくではありますが、導入されつつあります。
本セッションではゲームAIのこの20年を振り返ることで、次のゲームAIの10年を展望したいと思います。