基調講演

ゲームはスパコンの夢を見るか、スパコンはゲームの夢を見るか

講演形式
基調講演
講演時間
08月25日(木) 09:45 〜 11:05
講演ルーム
第1会場
受講スキル

得られる知見

セッションの内容

1970年後半にテレビゲームが出現し、その後家庭用やPC上で広まったが、当時の最先端のスパコンと比較すると、その能力は何桁も違い、ハード・ソフトとも別世界の技術だった。だが、2000年代になると、3次元グラフィックスがゲームに導入され、さまざまなシミュレーションがゲーム機で要求されるようになり、逆にスパコンもGPU技術などゲームグラフィックス技術が採用されはじめた。現在、ハイエンドのゲームは実写とみまごうグラフィックスと高度な物理エンジンがスパコンとほぼ同じ技術で駆動され、また、スパコン界でも世界トップクラスの多くはGPUを用い、高度なデジタルツインを実現している。今後、ゲームとスパコンの技術は融合していくのだろうか、あるいは、エンタテインメントと科学技術という違いから、相互に影響しつつも似て非なるものになるのであろうか?

その中で、GPUが起爆剤となったもう一つの技術、深層学習ベースのAIはどのような役割を持つのだろうか?本講演では、スパコン「富岳」やTSUBAMEの経験をもとに、それらの現状と未来の可能性に言及する。 

松岡 聡

国立研究開発法人理化学研究所 計算科学研究センター

センター長

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<講演者プロフィール>

東京大学理学系研究科情報科学専攻、博士(理学、1993 年)。2001 年より東京工業大学・学術国際情報センター教授。2017 年産総研・東工大 RWBC-OIL ラボ⻑。2018 年より現職。東京工業大学・情報理工学院特任教授(兼職)。

専門は高性能並列システム(GPU・省電力・高信頼/大規模データ処理、高性能 AI 等)。
ACM HiPC を含む、主要国際学会のプログラム委員⻑職等を歴任。

スーパコンピュータ TSUBAME シリーズの研究開発に携わり、省電力を含む数々の指標で世界のトップランクを獲得すると共に、超並列計算機の並列アルゴリズムやプログラミング、耐故障性、省電力化、ビッグデータや AI との融合などの基礎研究に携わる。

米国計算機学会 ACM フェロー(2009 年)、ACM Gordon Bell 賞(2011 年、2021 年)、文部科学大臣表彰(2013 年)などを経て、2014 年、スーパコンピュータ分野の最高峰賞である IEEE Sidney Fernbach 賞を日本人としては初めて受賞。
2018 年には ACM が主催する HPDC 国際学会のキャリア賞を、2019 年には SCAsia 2019 にて Asia HPC Leadership Award を受賞。
2020 年、2021年 四期連続で TOP500、HPCG、HPL-AI、Graph500 において史上初世界 1 位四冠を達成したスーパーコンピュータ「富岳」の総責任者。 2022 年 紫綬褒章を受賞。
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