レギュラーセッション

情報処理で読み解く漫画:コミック工学の挑戦

講演形式
レギュラーセッション
講演時間
08月23日(火) 11:20 〜 12:20
講演ルーム
第10会場
受講スキル

漫画・コミックの情報処理に興味のある方

得られる知見

漫画・コミックへの情報処理の観点からの取り組みの概要.コンピュータビジョン,自然言語処理,インタラクションの技術分野からの取り組みの事例.

セッションの内容

漫画・コミックは,日本の誇るコンテンツである.しかし,書籍であったこともあり,メディア処理の課題として取り上げられることは,一般画像に比べてかなり限定されていた.処理題材となる共有のデータセットも画像や言語に比べて,極めて貧弱であった,Manga109といった適度な規模のデータセットが数年前に公開されたり,電子書籍化が大きく進んだことを背景に,漫画を対象とした情報処理技術は徐々に数がふえている.また,国内では,これらの学術的な盛り上がりもあり,コミック工学研究会(電子情報通信学会)が,研究者,作家,出版社などのコミュニティとして立ち上がっている.本セッションでは,漫画を扱う情報処理の現状,コンピュータビジョン,インタラクション,自然言語処理といった技術分野での取り組みを概観する.

本セッションは,以下の構成で進める.

1. はじめに,コミック工学の広がり 相澤清晴(東京大学)

2. コミック工学の現状,その研究会 山西良典(関西大学)

3. CVから見た漫画 松井勇佑(東京大学)

4. HCIから見た漫画 松下光範(関西大学)

5. NLPから見た漫画 石渡祥之佑(Mantra株式会社)

6. QA

相澤 清晴

東京大学

大学院情報理工学系研究科

教授

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<講演者プロフィール>

1983年東大電子工学科卒業.88年同大学院博士課程修了.工博.東大工学部助手,講師,助教授をへて,2001年より同教授.現在,同大情報理工学系研究科電子情報学専攻.東京大学バーチャルリアリティ教育研究センター長兼務.画像・メディア処理に関する研究に従事.コミック工学研究会委員長.電子情報通信学会副会長,映像情報メディア学会元会長,IEEE/ ITE/ IEICEフェロー. 日本学術会員会員.

<受講者へのメッセージ>

Manga109という研究利用のデータセットを構築し,リクエストに応じて提供しています.すでに1500をこえる研究者に提供し,その8割近くは外国です.絶版漫画ではあるものの,日本のコンテンツの力を感じています.
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山西 良典

関西大学

総合情報学部

准教授

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<講演者プロフィール>

2007年名工大工学部知能情報システム学科卒業.2012年同大学院博士後期課程修了.博士(工学).2012年より立命館大情報理工学部助手,特任助教,助教,講師,この間ブリティッシュコロンビア大学(カナダ)客員助教.2020年より,関西大総合情報学部准教授,現在に至る.文化や芸術を対象としたコンテンツ処理に関する研究に従事.電子情報通信学会HCGコミック工学研究会副委員長.

<受講者へのメッセージ>

漫画に対して情報処理の観点からアプローチする研究分野であるコミック工学では,研究コミュニティの広がりは近年さらに活発化しています.文化としても,産業としても,日本を代表する魅力的なコンテンツと情報処理技術の融合がますます期待されます.
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松井 勇佑

東京大学

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<講演者プロフィール>

2016年,東京大学大学院情報理工学系研究科電子情報学博士課程修了.博士(情報理工学)現在,同大学情報理工学系研究科講師.コンピュータビジョン,マルチメディア処理に関する研究に従事.コミック工学研究会幹事.

<受講者へのメッセージ>

コンピュータビジョン分野は,過去10年で大きな飛躍を遂げました.その中で漫画というコンテンツに対する処理がどう扱われてきたか,どのようなことが可能なのか,議論します.
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松下 光範

関西大学

総合情報学部

教授

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<講演者プロフィール>

1995 年大阪大学大学院基礎工学研究科物理系専攻制御工学分野博士前期課程修了.同年,日本電信電話株式会社に入社,NTTコミュニケーション科学基礎研究所にて知的情報処理の基礎研究に従事.2008 年関西大学総合情報学部准教授,2010 年同教授,現在に至る.現在は情報編纂,インタラクションデザインに関する研究に取り組んでいる.博士(工学).2003 年情報処理学会論文賞,2007 年日本知能情報ファジィ学会論文賞,2013 年 Laval Virtual Award ほか各賞受賞.情報処理学会,電子情報通信学会,人工知能学会,芸術科学会,ACM 各会員.

<受講者へのメッセージ>

「コミックを研究対象にする」ことは,思っているより簡単ではありません.漫画は,コマ割りに紐づく独特な文法形式に様々な漫画家さんの努力やアイデアによる表現効果が施された,高度に知的なコンテンツです.その知の結晶に計算機科学はどのようにトライできるのか,一緒に思いを巡らせましょう.
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石渡 祥之佑

Mantra株式会社

代表取締役

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<講演者プロフィール>

Mantra株式会社 代表取締役。東京大学情報理工学系研究科修了。博士(情報理工学)。日本学術振興会特別研究員(DC2)、東京大学生産技術研究所特任研究員等を経て、2020年 Mantra株式会社を創業。独自のマンガ機械翻訳技術により高速なマンガ翻訳を可能にするクラウドツール「Mantra Engine」、マンガを英文多読の教材として活用する学習サービス「Langaku」等の開発に従事。

<受講者へのメッセージ>

マンガの可能性を拡げるための自然言語処理技術について、当社の取り組みをご紹介します。
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