インタビュー:ゲームデザイン分野
回答者:山口 誠

ご自身が扱う分野の最新の特徴とは?

ゲームデザイン分野は、ゲームのユーザー体験やそれに伴うルール設計、データ設計から実際の運用など幅広く扱う分野です。シナリオやキャラクター設計などの文系的な領域から、レベルデザインやマネタイズモデル、KPI分析といった理系的な領域まで様々なテーマを担当しています。
基本的にはゲームプランナーと呼ばれる人やそれに類する人たちが主な対象となる領域です。
その中で近年の特徴としては「現実世界への影響」を含めたゲームやそのデザインが多く感じます。
プロジェクションマッピングやGPSを使ったARゲームやSNSやWEB媒体を使ったトランスメディアゲーム、頭や身体を実際に使用するゲームやテーマパーク、アナログゲームとデジタルの融合など、様々な方向性でその傾向が見受けられます。

この分野で特に求めているトピックは?

コロナ禍以来になりますが「オンラインでのコミュニケーション手段」が求めるトピックの一つです。
オンラインでの開発が当然になって以来、製作機能が決まっている進行にはあまり問題がないように感じますが、モチベーション管理を含めたチーミングやブレストなどのアイデア創出がオンラインでもできているのか、試していることやツールの活用法などがあればぜひ聞きたいです。
また、今年は「『敵を倒す』から『生き残る』を主軸の体験としたゲームデザイン」を重要な求めるトピックとしてあげさせていただきました。
排他より共存、という感覚は文化的背景から日本人ならではの大切な感覚であると考えます。
この共存や生存といった日本人ならではの感覚から生まれる日本人ならではのゲームデザイン事例が実際のゲームタイトルと合わせてご講演いただければ、日本人にしか作れなかったタイトルや体験の創造につながるのではと思っています。

運営委員から見た応募することで得られること(ご自身の経験や過去の応募者の声など)

講演者の方からは「ふだん技術として認識されていないようなテーマでも、興味をもって聞いてくれる方が多く、その後情報交換などもできて有意義だった」 「講演以降、講演内容を知ってくれた方と、深い話をしやすくなった」「自身の興味のある領域の、認知度アップに貢献できた気がする」など、スキルアップや人脈の広がり、業界貢献まで、有意義であったというご意見をいただいておりました。
オンライン開催になり、直接顔を合わせてお話しする機会がなくなったものの、質問の列に並ばずに講演者とお話しができるなど、オンライン講演ならではのつながりもできているのではと感じます。

CEDECでの登壇メリットについて

例年のことになりますが、ゲームデザイン分野は他の分野に比べて講演数が少ない傾向があるため、応募自体にチャンスが大きいと思います。ゲームデザインに関係する聴講者の方に、講演を積極的に聞きに来ていただけるため、若手の皆様にもぜひチャレンジしていただきたいです。
また、ゲームプランナーが公的な場で自身の活動を発信する機会は多くはないため、CEDECで登壇することは業界内においてかなりのアドバンテージになると思います。CEDECで講演した内容から生まれる関係値や、講演したこと自体が今後のキャリアを築く上で十分活用いただけるのではと思います。

公募を検討している方へのメッセージ

CEDECの他分野では、専門性を持った方がその専門的な知識をもって、業界の方へ共有していることが多いため、ゲームデザイン分野でもそれが求められていると萎縮することもあるかと思います。ただ、ゲームデザイン分野は扱う内容が多岐にわたるため、さもないと思われているご自身の経験が十分他の人にとって価値のある内容であることも多いです。
特に若い方は各種ツールの使い方や活用法を共有いただくだけでも、同じ仕事をしている人たちの糧になることは間違いないと思います。
また、若い方に限らずベテランの方も、知識を伝える、というだけでなく、失敗談・成功談を含めたご自身の経験をお話しいただくだけでも分野自体の成長・拡大につながりますので、ぜひ積極的にご応募いただきたいです。