日本の文化を語るときひとつの視点として、「ハレ」と「ケ」というものがある。「ハレ」は非日常であり、いわばお祭りである。晴れがましい、とか晴れ着というときの「ハレ」である。気分は高揚するし、人に見てもらいたくなるが毎日は続かない。「ケ」は日常で、普段の生活で、仕事とか、家の用事のことで毎日続くし、別に高揚しないし、いわば淡々と続く連続的な時間の中の話になる。僕は今までのゲームソフトは「ハレ」の文化として捉えていた。でもいまや「ケ」の文化として捕らえたほうがはるかに判りよい携帯ゲーム機ソフトがたくさん出てきている。「ハレ」と「ケ」の間には、人生の特別な時間の娯楽と見るか、日常的に繰り返される普通の娯楽と捕らえるかという違いがある。ヒットしている携帯ゲーム機ソフトの企画を、ただ単なる企画の勝利とだけ捕らえるのではなく、携帯ゲーム機というハードが今までとは異なる性格を持ち出した結果と受け止めるほうが理解しやすい。では「ケ」の文化の代表的なものは何だろう。そこを追求すれば!「ハレ」と「ケ」という視点で携帯ゲーム機ソフトを眺めると、今までとは違う新たな企画が出てくる!
■講師プロフィール株式会社マーベラスエンターテイメント エクゼクティブプロデューサー 取締役
アニメ作品の製作に出資各社とともに参加し、製作委員会幹事社のエクゼクティブプロデューサーとして、「ガンスリンガーガール」「スクールランブル」「ジパング」「BECK」「CAPETA」「蟲師」「家庭教師ヒットマンREBORN」などのアニメ作品を発表している。また「テニスの王子様」、「エアギア」、「ケンコー全裸系水泳部ウミショー」などのミュージカルを企画製作しエクゼクティブプロデューサーを務める。これらをロングラン化し、定着させ、今までになかったアニメミュージカルというジャンルを作った。 MMV入社以前にはアサツーディケイに勤務し:TVアニメ;「遊戯王デュエルモンスターズ」「HUNTER×HUNTER」「タッチ」「ハイスクール!奇面組」「キテレツ大百科」「赤ずきんチャチャ」「さすがの猿飛」「こちら葛飾区亀有公園前派出所」「クレヨンしんちゃん」などの作品に製作プロデューサーや企画者として参加した。1979年には日本にはそれまでにはなかった「アニメトピア」というラジオでのアニメ番組を企画プロデュースし9年間放送した。「アニメトピア」は今のアニメラジオ番組の元祖とされている。
「たまごっち」や「デジタルモンスター」等、数多くのヒット商品を生み出してきた、そのノウハウやテクニックを具体的なケーススタディをとおして今後の商品開発の可能性、エンターテイメントの本質について解説する。
■講師プロフィール株式会社ウィズ 代表取締役社長
1955年東京都生まれ。中央大学経済学部国際経済学科卒業。77年株式会社バンダイ入社。キャラクター玩具をはじめ幅広いジャンルの商品企画開発に携わる。86年株式会社ウィズを設立。玩具やアニメ制作、携帯コンテンツなどを手がけ、95年に株式会社バンダイと共同企画・開発した「たまごっち」は大ヒットとなった。
著書:「ふくろう社長の目のつけどころ」(06年株式会社経済界)など。
テレビCM、ゲーム、劇場映画、テレビアニメーション、携帯コンテンツ、パチンコなどのアミューズメント映像など、ここ数年で白組のコンテンツ開発の幅が大きく広がりました。担当プロデューサーが、コンテンツの制作について語ります。
■講師プロフィール株式会社白組 プロデューサー
1969生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業。
テレビ番組制作会社を経て白組へ入社。
実写の経験を活かして、映画やゲームムービー、ミュージックビデオなどのCGを手がける。
白組での主な作品
「RULE OF ROSE」(ゲーム)
「GENJI-神威奏乱-」(ゲームムービー)
「Foulks Soul」(ゲームムービー)
「DREAMS COME TRUE」(MUSIC CLIP)
「ロッテガーナチョコレート」(CM)
他、多数
株式会社白組 プロデューサー
1970生まれ。明治大学法学部法律学科卒業。
映画配給会社にて外国映画の買付、宣伝プロデュース、劇場営業、配給を担当。
その後、総合出版社に移籍し、邦画の製作プロデュース、出版コーディネートを手掛ける。
2003年白組入社。白組の個性を活かすコンテンツの開発を担当している。
白組での主な作品
「うっかりペネロペ」(CGアニメ:NHK教育テレビ)、
「魔弾戦記リュウケンドー」(特撮ドラマ:テレビ東京系)、
「もやしもん」(アニメ:CX「ノイタミナ」)
ゲームや映画などのコンテンツビジネス・権利ビジネスにおいては、「ワンソース・マルチユース」が最大の特徴と言われてきた。それゆえ、マンガ、アニメ、映画などを原作としてゲームなど二次的展開を図るのが、ビジネスの成功につながると考えている向きも多いであろう。しかし、それはもはや時代の遅れの考え方と言わざるを得ない。ハリウッドの映画クリエイターたちは、すでに、映画「マトリックス」のときから、「劇場用映画とゲームの融合」の世界を目指し始めている。それは、単なる「二次利用」を超えて、「ワンウェイか、リアルタイムか」という違いしかもたない、正に、劇場用映画とゲームとが一体化したものと言える。ハリウッドのトップクリエイターたちは、すでに映画とゲームの融合の世界の実現に向けて、舵を切っている。しかし、日本では、映画(映像)とゲームとは別個のものとして捉えられており、融合に向けた本格的な動きは皆無といってよい。本セッションでは、日本および米国の両方において、映画、アニメーション、ゲームなど、クロスボーダーに活躍してきたエンタテインメント弁護士が、実地に得た経験と知識に基づいて、ゲームと映画の本格的融合時代について検証し、考察する。
■講師プロフィールBDJ法律会計事務所 代表弁護士
弁護士。ゲーム、映画、アニメーション、CMなど、エンタテインメント分野において幅広く活動する。日本のみならず、米国等海外においても活動する、日本では数少ない、国際派エンテインメント弁護士である。近時では、映画「マトリックス」のクリエイターや代理人たちとも密接な関係をもち、日本との共同製作等に関与している。
日本のアニメは、当社制作の『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(監督:押井 守)
がアメリカの「ビルボード」誌のセルビデオ部門で1位を獲得したことや、近年では
外務省がマンガ・アニメ等のポップカルチャーの海外での人気に注目し、マンガ・アニ
メ外交を推進するなど、大きな注目を集めております。
しかし、翻って日本国内のアニメ制作現場の状況に目を向けると、年間1500本
前後の作品が制作されているにも関らず、多くのアニメ制作会社が下請け的な
業務に従事し、そのヒットの恩恵には浴していないのが現状と言えます。
このような市場環境の中、プロダクションI.Gは今年で創立20周年を迎え
これまで積み上げてきた制作能力に加え、グローバル展開を見据えた
作品作りを心がけています。
押井守監督の最新作『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』などの作品を交えながら
お話させていただきます。
プロダクション・アイジー 代表取締役社長
Ishikawa Mitsuhisa()1958年10月東京都生まれ。
Production I.G.,LLC(米国)の代表取締役を兼務。大学卒業後、タツノコ・プロダクションに入社。1987年、同社より独立し創業。プロデューサーとして数多くのアニメーション映画、ゲーム制作などを手がける。
主なプロデュース作品として、劇場「機動警察パトレイバー2 the Movie」('93)、劇場「GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊」('95)、劇場「人狼 JIN-ROH」('00)、劇場「BLOOD THE LAST VAMPIRE」('00)、テレビシリーズ「攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX」('02)、テレビシリーズ「攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG」('04)等がある。
2003年 「アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー・ジャパン(EOY JAPAN 2003)」日本代表に選出。
2004年より 東京大学特任教授就任。
2005年、株式会社プロダクション・アイジーはジャスダック証券取引所に上場
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ビデオゲーム業界はソフト屋さんとハード屋さんとに分別されます。これは任天堂やSCEのようにひとつの会社の中でもそうです。私のおりますテレビ業界もまったく同じです。
ソフト屋は放送用番組(ビデオゲームソフト)を作り、ハード屋はそれを視聴者(ユーザー)に届けて楽しませるため放送(ネットインフラ、DS・PS3などハード開発)します。
放送手段とテレビ(ネットインフラとビデオゲーム機本体)=ハードがなければ番組(ビデオゲーム)=ソフトを楽しめませんし、必要とされる番組(ビデオゲーム)=ソフトがなければハードは成り立ちません。まさに相互依存構造です。
このようにビデオゲーム業界とテレビ業界はとても似た構造を持っています。アニメ専門CHの“AT-X”も擁すテレビ東京はアニメビジネスに力を注ぐテレビ屋です。1995年の「新世紀エヴァンゲリオン」以降、2~3年周期で世界市場でのメガヒット作品を排出し続けていますがそれはなぜ?今回はメガヒットまでのプロセスを振返りながら、優良コンテンツ開発のきっかけやポイントを探っていこうと思います。
株式会社エー・ティー・エックス 取締役ゼネラルマネージャー
1979年に東京12チャンネル(現テレビ東京)入社、営業~編成~報道を経て1993年から編成でアニメ番組をプロデュース。その後コンテンツ事業局でアニメ事業を担当、現在に至る。「ケロロ軍曹」「NARUTO」「ヒカルの碁」「テニスの王子様」「遊戯王デュエルモンスターズ」「ポケットモンスター」「新世紀エヴァンゲリオン」など多くのヒット作品を手がけ、現在まで関わったテレビアニメは数百本にのぼる。
「ポケットモンスター」では1997/12/16に起きたポケモン騒動の渦中に、しかしリスクマネージメントが功を奏しその後世界的ブレイクを果たした。
いまもアニメ専門チャンネルのATXで幅広くアニメビジネスを実践している。