CEDEC運営委員会インタビュー

鳴海 拓志

CEDEC2024 アカデミック・基盤技術分野インタビュー

アカデミック・基盤技術分野 主担当 鳴海 拓志

──アカデミック・基盤技術分野における最新の特徴を教えてください。
鳴海:

去年に引き続き生成系AIの技術的発展はめざましく、社会的な注目も高いです。エンターテインメントコンテンツの生成にも活用されはじめており、エンジニアリング分野を含む実用フェーズのトピックに移行しつつあるかと思いますが、引き続き基盤的な技術としても注目していくべきでしょう。
かたや、コンピュータグラフィックス(CG)系の学術会議ではNeRFや3D Gaussian Splattingなどの、実写をベースとして写実性の高いCGを生成する技術が注目を集めています。こうした技術がエンターテインメントコンテンツにおいてどう使われていくかが楽しみです。

──この分野で特に求めているトピックを教えてください。
鳴海:

分野の動向を踏まえて、今年は実写ベースCG技術やその最新動向を扱った講演に期待しています。また、生成系AIをどう使うかという観点から、AIと人の共創を支援するようなインタフェース技術や、共創的な制作の方法論についての講演も求めています。また、アクセシビリティの担保にかかわる技術や話題もぜひ聞きたいです。カスタマイズ性の高いゲームコントローラーや、色覚多様性に対応した映像調整など、アクセシビリティに関する話題は取り上げられることが増えてきていますが、CEDECでの講演を通じて業界で共有していくことで、スタンダードを高めつつ、さらに発展させていけるのではと期待しています。

──ご自身の経験や過去の応募者の反応から、応募するメリットはどう感じていますか?
鳴海:

この分野に応募されることが多いアカデミアの方々にとっては、CEDECに応募すること自体が、研究の成果をどう社会と繋げられるかを新しい観点から見つめ直せるとても良い機会になると考えています。
発表に対してエンターテインメント業界の方々からいただける柔軟なご意見は、普段の研究活動で考えることとは違う視点を提供してくれて、研究をする上でも良い刺激になった、といっていただけることが多いです。また、そこから共同研究や実用化に繋がるという場合もあります。

──CEDECでの登壇メリットについてはどう感じていますか?
鳴海:

特に登壇のメリットがあるよとお伝えしたいのは、エンターテインメント業界に興味のある学生さんです。自分の研究で得られた成果や知見を発表して顔を売ることは、エンターテインメント業界との繋がりを作り出すきっかけになります。チャンスを掴む場として、是非応募していただきたいと思っています。

──最後に、公募を検討している方へメッセージをお願いします。
鳴海:

エンターテインメント業界の方々は新しい技術に対してポジティブで、明るく楽しいフィードバックを与えてくれます。アカデミアの方にとってもそうでない方にとっても、CEDECは普段とは違う観点の有意義なフィードバックが得られるお祭りのような楽しい場所です。
中でも、アカデミック・基盤技術分野は、少しでもエンターテインメント分野との関連が見いだされるものであれば、萌芽的な取り組みや新しい提案を何でも受け入れてくれる、ダイバーシティのある分野です。
CEDECに興味はあるけど、自分の持っている知見はCEDECにふさわしいのかな?とためらう必要はありません。様々な方に様々な内容でご応募いただきたいです。